【スージー・ムラカミ/NB】大手農機メーカージャクト・グループ創業者の西村俊治氏が創立した西村俊治農工高校は、従来の厳格な全寮制度ではもう生徒を魅了しないということで、教育方針を刷新した。現在寮生活をする2年生(26人)と3年生(20人)の2クラスを最後とし、来年から通学制にする。
西村氏は、農業機械に対する知識普及の一環として1982年、ジャクト・グループによる西村俊治技術財団(FSNT)を創立し、農業機械分野における後継者育成を目的とした西村農工高校を開校した。また同氏は、職業訓練校として西村智恵子機械技能訓練学校を創設した。同校には創立者の記念館があり、生徒に歴史を伝える役目を担っている。学校があるポンペイア市はサンパウロから500キロ離れたところに位置する。
農工高校では3年制を敷き、さらに1年を研修期間としていた。研修では、米国もしくは日本のどちからを研修先として選択することが出来たが、カリキュラム改定後は、期間を3学期に分割し、各教室には30人ずつ振り分け、研修は米国およびブラジルから選択することになる。
西村氏は、ブラジルで受けた恩恵に報いるため、財団を設立した。道徳心の育成は、職業訓練に貢献するという独自の概念によるものである。同時に西村氏は、力行会の精神を尊び、西村俊治小中高等学校を創立した。力行会では西村氏自身も学んだ
今回の教育課程改定は、実は西村氏自身が7年前、既に予想していたことだった。西村財団から出版された「Colhendo a Integridade(誠実の収穫)」では、西村氏についての様々な逸話やその組織、長女マチコさんによる解説も掲載されているが、同氏は同書の中で続投の意思を綴っており、再編成の必要性を訴えている。「財団は一つの木で、根や幹、葉、花や果実全てが財団である。もし新たな統治が来たら、木は新芽が出るように剪定されるだろう。それらが有効な時間の元、花を咲かせるならば、新たな果実(新しいアイデア)を実らせるだろう」
技術財団の役員であるアルベルト・イサム・ホンダ氏によると、西村氏の目的は、500人の技術者を育てることにあったというが、2007年までで797人の卒業生を輩出している。最盛期には入学希望者は200人まで達したが、現在では平均50人まで落ち込み、その中には選考で不合格となる者もいる。
ホンダ氏によれば生徒数の減少の原因は日本のデカセギにあるという。コチア産業組合の解散と南米銀行の倒産により、同校に出入りしていた多くの日系農家は、ブラジルの反対側に行ってしまったのだ。今日、生徒はセラード出身の農家の息子が多くを占めている。「現在の情報社会において、選択幅の広い若者にとっては、全寮式は魅力を感じないのです」とホンダ氏。今年の8月より、財団は電子工学と機械工学の講座を始める。