日本で就労しブラジルに帰国したデカセギ事業家を支援するブラジル中小企業支援機構(Sebrae)が設立1周年を迎えた。デカセギから戻った人がブラジルの経済・社会に復帰できるよう支援する同プロジェクトの成果は良好だ。デカセギ帰国者に対して新しい可能性を開きたいと今回のプロジェクトを立ち上げた同機構のパウロ・オカモト代表は「我々は常にデカセギ事業家を魅了する新たな可能性や斬新な企画を模索しています」と語る。
同機構のパラー州支部では、日本からのデカセギ帰国者を農業という分野で成功させることを目標とする企画が進行中だ。バルカレナ市では、市とアルノルチ(地元の大手工場)と共同で、帰国者に対し農業に投資するよう呼び掛けるプロジェクトを始めた。パラー州担当のカズシゲ・マツモト氏は「新しく農業に参入する人のために、市とアルノルチは農地、Sebraeはその土地を活用するためのノウハウなどを提供しています」と説明する。
マツモト氏によると、生産品はスーパーで販売される。「私たちはパラー州の他市にも拡大したいと考えており、その後は他州への進出も視野に入れています」とマツモト氏。
パラナ州では、帰国者がかかわった事業の競争力を高めることを目的に、企業家は顧客管理並びに顧客の新規開拓方法などを学ぶ。さらに店舗の運営管理、販売ルートの確保など、仕事内容からプロセスにまで及んでいる。「2006年度の結果は素晴らしいものでした」と同州マリンガ市のSebraeでコンサルタントを行うエリカ・サンシェスさんは評価する。「私たちは、常にデカセギ企業家たちとひとつのプランに対し共同作業を行い、議論しながら企業の分析をします。さらに企業家に対し満足度調査も行っています」。
顧客管理統括部門担当のエニオ・ピント氏は「ブラジル銀行(Banco do Brasil)は日本で定着しつつあり、自身の組織を持ち成功しています。連邦貯蓄銀行(Caixa Econômica Federal)は日本市場に参入してまだ日が浅いものの、地元の銀行と提携してそのネットワークを拡張しています。私たちも前例に倣い、地元と連携して進めていきます」と、日本におけるSebraeの行動戦略を語った。
オカモト代表にとってこのプロジェクトの最大の課題はプロジェクトを普及させることだという。「このプロジェクトを多くの人たちに知ってほしいが、1日12時間、週6日間働いて、家ですることといえば食事と睡眠の時間しかない日本のデカセギにプロジェクトの存在を広めるのは大変難しい」。成功した戦略のひとつを例に挙げると、ステーションワゴンの活用だ。スピーカーを搭載したステーションワゴンをデカセギが働く工場付近に置き、プロジェクトについてのテープを聴いてもらう作戦だ。
最後にオカモト氏はプロジェクトの成功の要因について「プロジェクトが革新的な新しい方法であることだと言える。ブラジルに帰ってきたデカセギが新たに起こした事業の62%(国内平均49%に対し)が破産しており、その数値を下げるためにも我々のプロジェクトが役に立つと確信しています。現在約31万3000人のデカセギが日本で働いています。4年間のプロジェクト実施期間中に1万人に新たな事業を提案していくことを目標に努力していきます」と語った。