現在、パラナ州選手権を戦っているコリチーバに注目の日系人サッカー選手がいる。彼の名はペドロ・ケン・モリモト。じりじりと頭角を現し、今シーズンでの活躍が期待される大型新人だ。落ち着いた声からは想像できないほどアグレッシブなプレーを見せる19歳の若者は、チームを1部に昇格させることが今年の目標だと意気込んでいる。また、将来についてもすでに構想があるようで「今の契約が終わったら、リオかサンパウロのチームに行くかもしれない」と大きな夢を胸に抱いている。
子どもの頃からパラナ州のチームであるコリチーバを愛し、サンパウロ州のチームではサンパウロFCに愛着を感じてきた。両親の影響で、地元の小さなフットサル大会に出場し始めたのは6歳のとき。「まだ小さかった頃に両親がスポーツをするように勧めてくれたんです。学校のフットサルチームに入ったのはどちらかといえば母の決断でした」。10歳でコチリーバのジュニアチームにスカウトされ、着々と力を付けてきた。その後、サンパウロ・ジュニオーレス杯でのプレーが認められ、2007年シーズンに入ってからはレギュラーとして活躍中。2006年には20歳以下のブラジル代表にも召集され、スペインのバルセロナで行われたインターナショナル・メディテラネアン杯に出場した。今年7月にカナダで行われるユース世界選手権には召集されていないが「ユース代表はもう活動している。いつかチームに呼ばれることを期待しています」とあきらめていない。
五輪代表も視野に入れている彼にとって、最も尊敬する選手は「ジダン」だという。「彼が最高のプレーヤーだと思う。ブラジルの選手ではカカが好きです。彼のスタイルはすごくかっこいい」。
モリモトを発掘したコチリーバのギリェルメ・マクグリア監督は彼について「とても利口で、努力家だし、多才だ。マークもうまいし、攻撃にも参加できる。フィジカルも強いし、うまくいけば近い将来、欧州でもプレーできるようになると思う」と絶賛している。
ブラジルサッカー界の日系人選手
モリモトのような日系人選手が出現するたびに人々は質問する。今度こそトップまでいくのだろうかと。ブラジルサッカー界で日系人スター選手の誕生を待ち望んでいる人々がいる一方で、ブラジルでトップの座をつかむのは本当に難しい。これまでにも60年代にペレとともにサントスでプレーしたカネコ、元コリンチャンスのセルジオ越後、最近では、ロドリゴ・タバタ、パウリーニョ・コバヤシ、サンドロ・ヒロシ、クラウジオ・ヤマダなどが活躍を見せたが、いずれもスターと呼ぶにはほど遠い。
リオブランコ・デ・アメリカーナで名を馳せたサンドロ・ヒロシはサンパウロFCと契約するまでに至ったが、ドキュメント詐称のスキャンダルに巻き込まれ、現在は韓国の全南ドラゴンズでプレーしている。一方、サントス、ポルトゲーザなどのチームを渡り歩いたパウリーニョ・コバヤシはゴイアス州のミネイロスに在籍。現在37歳になる彼は運動量が豊富なため「チームメイトに40歳までプレーする気だろって冗談を言われる」ほど今でも精力的にプレーしている。
コリンチャンスのユースチームで実力をつけたGKのクラウジオ・ヤマダは、将来Aチームでの活躍が有力視されていた選手。ブラジル代表のジダがチームを去ってからはとくに周囲の期待が増した。しかし、周囲の期待がプレッシャーとなり、やがて彼はチームを離れることに。現在はペルナンブコ州のセントラル・デ・カルアルでプレーを続けている。
ジャーナリストのジュカ・クフォウリ氏は、日系人の中からスター選手が生まれない理由に日系人選手の少なさを指摘している。そのうえで「質の高い選手はやはり多くの選手の中から生まれてくる。(日系人選手がスターになれないのは)遺伝的なものだという意見もあるが、自分はまったく関係ないと思う。いつか日系人の中からもスターが現れるはずだ。欧州で多くの日本人選手がプレーしていることで、日本人はサッカーが下手だという定説が覆されつつある」とコメントした。